マイクロソフトがヤフーを欲しいわけ

ゴールデンウィーク真っ盛りの中、

「米マイクロソフトがヤフーを買収か」という記事がニューヨークポストより出ました。

結果的にはヤフーが拒否する形で決裂したような感じで話はおさまってますが、「マイクロソフトがヤフーを欲しかった」というのは紛れもない事実でしょう。

そこにはライバル・Googleへの対抗というのがありありと見えています。

たまたま、遅ればせながら読んだ「ウェブ進化論」にGoogleマイクロソフトの違いが明確に書かれていましたのでまとめてみました。 

■ネットの「こちら側」と「あちら側」

技術進化の大きな流れとして、ネットの「こちら側」から「あちら側」へのシフトが確実に進む。と言われています。

ネットの「こちら側」とはインターネットの利用者、つまりぼくたち一人一人に密着した物理的な世界のことです。

たとえば、ケータイ、パソコン、DVDレコーダー、電子マネーICタグ、カーナビなどなど。

これらはインターネットとぼくたちを結びつける部分に革命を求めるものです。

パソコンが普及したおかげで、家からインターネットで情報収集できるようになった、ケータイの普及でiモードができるようになった、電子マネーの登場で小銭なくして買い物ができるようになった、というように生活をを大きく便利に変えました。 

一方、ネットの「あちら側」とはインターネット上に浮かぶ”すんごいシステム”のことを指します。

たとえば、Webメールであったり、Web上でのオフィスソフトであったり、amazon.co.jpのような買った本の好みを分析するシステムであったり、mixiであったりするわけです。

これらの「あちら側」のシステムはどんなオンボロのPCであってもケータイであっても、自分の情報をあちら側に置くことで利用できるわけです。

余談ですが、日本は技術力を駆使して「こちら側」を作ることが得意であり、アメリカは「あちら側」を作ることが得意だと言われています。

■「あちら側」を作ったGoogleという会社

すでにお気づきだとは思いますが、この「あちら側」の世界の可能性を無限に広げたのがGoogleだというわけです。

Google Map、Gmail、そしてGoogle Spredsheet・Docs(ネット上で使えるWordとExcel)、Google Earth等々これらすべての便利なサービスは「あちら側」を代表する便利なシステムです。

もちろん、Googleを代表する超高性能な検索エンジンも雑多な情報から有益な情報を取り出す「あちら側」になくてはならない”すんごいシステム”です。

驚くことに、それらはすべて無料で使うことができます。(無料で使えるのはGoogleの持つ高度な検索サービスからのすぐれた広告挿入技術とオープンソースの普及であることは言うまでもありません。)

つい3年前まで想像もつきませんでしたが、今は3ギガものメールが「あちら側」に保存でき、「こちら側」と変わらないくらい、いや少し速いくらいメールの検索も容易にできるようになりました。  

■「こちら側」のマイクロソフトにとってのGoogleの存在

もちろんお気づきだとは思いますが、「こちら側」を代表する企業はマイクロソフトでしょう。

創業者・ビルゲイツは、これまで庶民が使うことのできなかったコンピュータをWindowsという超ヒット製品の開発によって一人一人の持ち物にまで普及させました。いわば「こちら側」の世界を作った人間です。

「こちら側」のメールソフトやWordやExcelを、「あちら側」で使われるようになってしまったら、マイクロソフトは大きな痛手になるというわけで、いても立ってもいられなくなった、それが今回の合併騒動だと言えるでしょう。

■まだまだ広がる「あちら側」の世界

「あちら側」の世界はまだまだとどまるところを知りません。

日本郵政公社が導入を決めた顧客情報の管理システムに”セールスフォース”という「あちら側」のシステムを採用しました。(NTTデータsalesforceを担いで落札) 

海外ベンダーの、しかもASP(インターネットを通じて使用するアプリケーションのこと)サービスを官公庁が利用する時代。恐ろしい時代になったもんです。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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