4つのガク

先週末に福井に出張し、そのまま妻の実家の滋賀、そして週末は大阪の友人宅に行って妻の実家に二泊し、週明けは神戸に出張し大阪で泊まって大阪で仕事をこなして帰るという流浪の1週間。そんな時は移動時間も多く、本をたくさん読む時間もあるので今回もたくさん持ってきました。

その中の一つが、京都大学松本総長の講話録「人材育成戦略」というもの。昨年、東京にて講演された際の模様が1冊にまとめられてます。

世界に通用する大学を作っていくための具体的な戦略ももちろん面白かったですが、子供を持つ身&育成の仕事に携わる身としては、育成に関連する一般論の部分が「なるほど」と心に残ったので、いかに列挙しておきます。

・意欲は難しい。僕は意欲は、やはり人よりも優れたことをした時に褒めてもらいたいという、子供の頃のそういう気持ちが源流にあるだろうと思う。子供というのはお母さんから褒められることが一番大きなモチベーションになる。小学校の先生から一つ褒めてもらったらその科目が好きになる。怒られてばっかりでは起こらないと思う。だから何か褒めてもらうことが重要じゃないですかね。

・今は本を1日に10冊くらい読む。というか1冊10分程度で「見る」。その時に役だっている知識は何かなと思ったら、大学で得たものはほとんどない。ほとんど高校までの知識。語学も音楽も社会学も物理学もそう。高校までにすべての基礎を作っておいてほしい。入学試験のための勉強はする必要はないとむしろ思って、そこそこの成績を取れば大学は評価すると高校に伝えたい。

・4ガクのススメ。ひとつは学問の学力。俯瞰力と知識をつけてほしい。次に額力。前頭葉が額にあるが、思いやりだったり情だったり意思。これは特に小さい子供に必要。3つめは顎力。言葉。要するに伝える力。最後に楽しむ力。どんな仕事でも楽しんでやっている奴には勝てない。

・私は人を育てるほど自分が偉いと思ったことは一度もないが、一緒にやろうと思ったことはたくさんある。大事と思っていることは心を磨く、身を鍛える、自分の天命を知る。そして追求。真実を追求するということだろうと思っている。要するに、未来は読めない。未来は自分で作らないといけない。「自鍛自恃」ー自らを鍛え、自らにたのむ。最近の人は周囲のせいにするが、人間というのは最終的には自分を頼りに持たないといけない。

・いつの時代だって若者は立派だったわけではない。「何もわかっていない」ことが若者の特権。全部わかってしまったらしょうがない。ところが、最近は塾とか先生が人生の行路はこうよということで全部教えこむものだから、変に先が見えている。これはよくない。自分で1つ1つ経験しながらやっていて、振り返ってみたらこうだと。それが人生じゃないかなと思う。

・変革をするときに軋轢を乗り越えられた手段は「対話」。命令させて動くような人たちではない。だから論理的に積み上げていっておかしいでしょうと。城を攻めるのに外堀を埋めて内堀を埋めてというやり方。このまま下がっていくのはよくないですよねと言う。誰も「よくない」と言う。じゃあ上へ上がる計画を立てましょうと。これはみんな反対できない。じゃあ今まで上へ上がらなかったということは何が問題なのかと言う。そうすると改革をしないといけないですよねと。こういうふうに改革しましょうとそこで出す。そうするとそんな改革はだめだ。こういう改革をしてくれといっぱい出てくる。そこで「みなさんは改革を望んでいるんですね」と切り返すわけです。