やっほー茶漬け(金沢七不思議)

これまで噂では存在を知っていたものの、金沢着任後1年半行く機会のなかった、片町という金沢一番の繁華街にある茶漬け屋「志な野」。


夜22時にひっそりと開店し、店内は全ての会話が「ヤッホー」で進められるという
信じがたい噂の謎の店。

いつかは行きたいと思っていましたが、ついに先日、忘年会の2次会後に職場の先輩に連れていってもらえることに。

正直、テンションの高い陽気なおじさんが時々パフォーマンスで「ヤッホー」と叫ぶんだろうとくらいしか思っていませんでしたが・・

店の前に立ち、行列に並んでいる間、店内から聞こえてきた奇声に
「これは大変なところに来てしまった・・」
とその場から逃げ出してしまいたい感覚に襲われました。

席が空く前に店内に入った先客が
「ちょっと待っとけよ!」なんて怒られてるのを目の当たりにした時には2次会の酔いもすっかり覚めてました。

10分ほど並び、ようやく店内へ。
凍りつくほどの緊張感。

齢80ほどの店主が目を見開いて店内にいる客を睨みつけてます。

10年前からの客である先輩は少しも動じることなく
「やっほ2つ」と注文。

ここで「やっほ」!?
全ての会話がヤッホーというのは真実でした。

店主の妻らしき方から返ってきた答えももちろん「やっほー」。
店主は無視。(店から出てきた方の情報によるとこの日は相当不機嫌らしく、、)

この店では「やっほー」の一声で志な野茶漬けと言われる看板メニューが出てきます。
(他にもたくさんメニューは貼ってあるもののそれ以外の注文は絶対にできない雰囲気がそこにはあります。)

ごはんと出汁、そして色々な具のセットがカウンターから出されますが、「やっほ」「出汁やっほー」「上からやっほー」と全てやっほで出されます。

受ける方も全く恥じらいなくあたかもそれが公用語のように、「やほぉー」と思わず言ってしまう、というか言わざるをえない空間です。

店の雰囲気からしてどんな茶漬けが出てくるんだろうとも心配でしたが、こちらは普通に美味しいお茶漬け。
梅干し、しらす、たらこ、鮭、漬物等々色んな味を楽しめる〆としてぴったりの一品でした。

おかわりが自由なシステムですが、当然おかわりも「やほぉ」。
黙々と茶漬けを掻き込んでは「やほぉ」、その繰り返し。
笑みもなく、どこまでも淡々と、そして時には少し怒り気味での「やほぉ」

これまで30年間、数多くのサービス業にお世話になってきましたが、その常識を奥底から覆されるほどの衝撃でした。

ここまできたらお分かりの通り、会計も「やほぉ」。
「28杯も食べた人いるんですね」というベタな会話にも「やほぉ」。

次の日、目を覚ますとあれは酔いながら見た夢だったんだろうと思わずにはいられない、ファンタスティックかつディープな空間でした。

が、食べログ(サイトはコチラ)を見ると紛れもない真実でした。。
さらには普段は親父さんがときどき「ヤッホー」とおもいっきり叫び出すそうで、
ほんとにまだまだ底知れない店です。