500億円の空

今日は早朝から4つの予定を13時頃までに一気にこなして午後からは録りためたTV番組を観たり、本を読んだりノンビリしておりました。

観た番組のひとつが「がっちりマンデー」。好きな番組のひとつでもあります。

今日の特集は三菱地所という会社の話。最近話題の新・丸ビルやペニンシュラ東京を保有している会社です。

「丸の内の大家さん」と言われていて丸の内地区の3割の建物は三菱地所が所有しているのだとか。

ここを中心に、家賃収入だけでなんと年間2500億円。これらの話も興味深かったのですが、最も驚いたのは”空中権”の話。知っていたつもりでしたが、ほとんど理解できてませんでした。

空中権とは

土地の上空の空間の一部を使用する権利のこと。

または、容積率に余裕がある土地の未利用容積率を他の土地へと移転する権利のこと。

イメージがつかみにくいので、東京駅の実例で説明します。

東京駅周辺は依然、高層ビル建設が進んでいますが、皆さんご存じのように、日本には容積率制限があり、土地の大きさに対して建てられるビルの大きさが法律で決まっています。

高い建物を建てたくてもその制限があるので建てられないというわけです。

それに対して、東京駅は現在、大正時代の創建当時の姿に復元する工事がされており、完成後は3階建ての非常に低い建物となります。

空中権取引とは、「東京駅がもっと使えたはずの空中」を「高い建物を建てたくても制限があるので建てられなかった」者に売ってもっと高い建物を作れるようにする、ということなんです。

実際、東京駅を所有するJR東日本は、利用しない容積分(空中権)を新丸ビルなどに転売しました。

それによって、1300%と制限されていた容積率が1760%となったため、新丸ビルは地上38階建てが実現したというわけです。

この取引でJR東日本は500億円ほどを手に入れ、建設費用に充当しているのだそう。

あくまでも特例制度であり、文化的建築物にしか適用されないということですが、正直なところ、理解に苦しむ制度です。

制限を目いっぱいまで使用していない部分の”空”がなぜJR東日本のものになるのか。また、一方が低いからといって、一方が容積率制限を越えた高い建物をなぜ建てられるのか。

まったくもって理解できません。

似たような権利で排出権取引はまだ理解ができます。(排出権取引とは、CO2の排出量を目標以下に減らした企業が余った分の権利を売り、反対に目標以上の排出量になった企業がその権利を買って目標以下になんとか収めるという取引のこと)

一方の排出量が多くても一方の排出量が低ければ、全体の排出量は変わりませんし、そして何よりこれは「ペナルティ」という意味合いもあって、長期的に見て二酸化炭素の削減につながると考えられます。

しかし、空中権はそういうわけにはいきません。

そもそも容積率制限とは都市の空間的バランスを保つための制度。一方のビルが高くても、一方のビルが低いからいいよ、というわけにはいかないのです。

空中権取引が広く認められ、空中権ビジネスが過熱するようになると、単に高いビルが増えるといった結果に終わるような気がしてならないわけです。

理解したようでモヤモヤが余計に残りました・・。