小倉鮨

北九州に住んで早4年目を迎えました。

北九州には「小倉前寿司」と呼ばれる独自の文化があり、ここ最近、全国的にも注目されているようです。

醤油やツメで食す「江戸前寿司」とは対局に、地元で獲れた新鮮な白身魚や貝類そのものの味を生かすべく、塩やすだちで鮮魚の甘みと旨味を引き出すという特色があります。

その辺の回転寿司でも十分すぎるほど美味しいこともあり、これまでは行きつけの回転寿司屋で満足させてもらってました。

そろそろ人事異動の足音も近づいており、北九州を後にする可能性も出てきたので、「今でしょ」ということで小倉前寿司を味わっておくことに。

名の轟いた超有名店は予約が軽く2〜3ヶ月後だったり、ランチで3万円だったりもするのでここは少し、隠れた名店を探すことにします。

ネットを中心に評判を吟味し、ちょうど一人の週末に予約の取れたこちらのお店に決めました。

お値段も高い方のコースで10000円と比較的落ち着いてます。 お腹を空かしてから行くために、13時からの予約にしてみます。

楽しみにしていた予約当日。店の前まで来ると少し怖気づきます 笑

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5席のカウンターのみの店内。意を決してドアを開けると2人連れが2組で、後は自分の残る1席のみという満席状態。

店主さんとの会話で、転勤でこちらに来られたばかりの若いご夫婦と出張中のお二人の一見さんで、常連客に囲まれて肩身が狭い状況にならずにホッとします。

ただやはり、孤独のグルメは味を共感する相手がおらず、特にこういうお店では寂しさを覚えます。

一枚板のカウンターには、オシボリと小倉織のひざ掛け、お寿司用の手水があり、面白いことにスマホ用のミニ畳がありました。「料理に集中!」みたいな敷居の高い有名店がある中で、「写真を撮ってもいいんだよ」と言ってくれてる感があって、ありがたかったです。

さてさて今回はランチのコースになっており、お寿司の前には一品料理をいくつか出していただけます。

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アカムツの中にイカが包まれてます

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燻製サワラ

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茶碗蒸しの中にコノシロ(コハダ)が隠れてます

 どれも創意工夫がありつつも、素材の味を存分に楽しむことができました。

そしてここから鮨のステージへ。

トップバッターはガツンとノドグロから。濃厚ながらも柑橘でサッパリといただきます。

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脂がノリノリのどぐろ

次に出てきたのはアジ。海苔を巻いた手巻き状態で手渡しいただきます。

次に甘鯛。高級白身魚がこれでもかと次々に出てきますが、薬味でも楽しませてくれます。

そして満を持して出てきたのが中トロ。長崎産の肉厚マグロにサッパリとした薬味がこれまた絶妙。

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これぞ長崎の本マグロ

松川エビというエビにミソが乗ったもの。茹で具合も絶妙です。

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松川エビ ミソを乗せて

そしていよいよイカ!上に乗っているのはかぼすの皮。
この飾り包丁がいい仕事しています。手元を見るだけで引き寄せられました。

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技が光るイカ

次に出てくるのは貝柱の王様、タイラギ。
分厚い貝柱がサクサクと噛み切れて貝の旨味が溢れます。

まだまだ勢いは止まりません。

ここからの赤ウニ。
下関で食べた以来の赤ウニですが、甘い。旨い。最高。こちらも海苔のまま手渡しで豪快にいただきます。海苔のボリュームにも負けない旨み。

クライマックスに近づいてきましたが、本日3つめのノドグロは炙りで。

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あぶりアカムツ

このあたりで、味噌汁も出てきて一休憩。
他のお客さんが帰られて、女将さんとの会話が始まったこともあり、名前は分かりませんでしたが白身のお寿司で再開します。

そして大きなマグロ中落ちの海苔巻。ネギやわさびが聞いていて海苔もサクッと美味しくいただきました。

ラストはメカブの冷たいお寿司でサッパリと締めくくられます。

お腹の状態を確認されたので、「十分膨れました」とお伝えし、最後にアールグレイのアイスとほうじ茶をいただきました。

途中途中で熱いお茶やオシボリを変えてくださったりと嬉しい心遣いも。

大阪や、以前の赴任地の金沢の話で食後もしばらく話し込みつつ、話が尽きないところではありましたが、お店を後にしました。

夫婦ふたりでお見送りいただき、入るときこそドキドキでしたが、最後はほっこりした気持ちで帰りました。

なかなか夫婦で小倉に来れる日は遠いかもしれませんが、きっとまた訪れたい、そんなお店でした。ごちそうさまでした!