金融危機の話

少し前に買っていたのですが、ようやく読み終わりました。

今、世間を騒がせている「金融危機」の話です。

現在の状況に至った経緯や原因が分かりやすく書かれています。

 

驚くべきは、この本が書かれたのは去年の春だということ。まるで現状を知っているかのような記述にびっくりするばかりで、そんな人が書いた理論には共感せざるを得ませんでした。

金融危機の背景については平易に書かれており、理解しやすいのですが、ソロスの投資理論が哲学的に書かれている箇所(本書の大半)については非常に難しく、読み応えがありました。

再帰性という理論を展開しているのですが、これは現代の金融工学の「均衡理論」(市場は需要と供給の均衡点に向かって収斂する)という理論を真っ向から否定するものです。

均衡理論は常に「市場は正しい」というスタンスをとりますが、再帰性理論というのは「市場は誤る」というスタンスをとっています。

均衡理論では価格が下がっても本来価値に自然と戻っていく、というスタンスをとりますが、再帰性理論では価格が下がると、買手が逃げ出すのが市場であり、誤った市場参加者の行動そのものが「本来価値」そのものにも影響を与えるというスタンスをとります。(んー、、もう一回くらいは読まないと説明できるほどは理解できません、、)

まぁとにもかくにも、ぼくはこれまで現代の金融工学を盲信して投資をしてきたことに違いはないので、それに大きな疑問を呈してくれた一冊で非常に参考になりました。

ジョージソロスの主張を読む限りではまだまだこのバブル崩壊は収まりそうにありません。

安くなった今が買い時という気もしないことはないですが、今はまだ、投資に手を出す気にはなれないのも事実です。

そんな中、来週まで締め切りを延長した、5年もの定期で1.7%という新生銀行「実りの円定期キャンペーン」に心を惑わされつつあったりもします。