使命という名のもとに

通信や電気、ガスといった目に見えないモノはなくなってみないとその大事さが分からない。通信インフラという重要性を今一度しっかりと見つめ直すべきではないか。

ここ最近、IP電話の急速な普及が進んでいる。
しかし、このIP電話というモノも重大な欠点がある。それは停電下では使えないということ。
今回の震災でもIP電話を導入していた自治体などはその連絡確保に苦労し、緊急用に引いてある固定電話を使用したということだそうだ。

今日、中田語録と間違って永田語楽というブログを読んで、『デイ・アフター・トゥモロー』という映画を観た。その映画でも最後の通信手段は公衆電話だった。そのおかげで主人公は気象学者である父から貴重なアドバイスを聞くことができた。

・・・話を元に戻そう。

ソフトバンクをはじめとした参入企業によって、法律によって固く縛られたNTTはその固定電話でさえも自由気ままにむさぼられている。そしてユニバーサルサービスの継続が困難になっていっているという現状である。

「電話の会社、やめました。」
そういってNTTは電話からインターネットへの収益源転換にやっきになっている。

しかし、やはりどうもこの2つは相容れないようだ。人々にとって、インターネットはまだまだ付加価値(便利なモノ)にすぎない。そうすると、どうしても速度や価格といった付加価値のさらに付加価値という指標に動かされてしまう。

電話というサービスをほぼ独占的に展開していることで法律によって固く縛られる。
それは客観的にみて致し方のないこと。しかし、それがインターネットのサービスにも影響を与えるのはおかしい。

ご存じのように、NTTには他社に自社の光ファイバーを貸し出さなくてはならない義務が存在する。この義務には理由がない。アメリカからの押しつけでもある。

JRが線路を阪急に貸してるか?大阪ガスが管を民間に貸さなくてはならない法律があるか?ない。だから民間のガス会社なんか存在しない。民間が原子力発電なんかしない。皆はそれを“当然”だという。

しかし、通信インフラの矛盾についてはあまりうるさく言う人は少ない。
むしろ、NTTを独占企業として批判する側に立つ人が多い。

何も競争を否定しているわけではない。現にソフトバンクが参入したからこそ、日本の通信は世界最高の水準になった。時代が変わっているのも理解できるし、サービスに競争が必要なのも理解している。

しかし、NTTが電話とインターネットという2つの顔を持っている現状とそれを持ち合わるように至らしめた日本の通信施策には矛盾があるのではないだろうか。

2面を両立させられないが故に常にどちらかがアンバランスになる。当然今はブロードバンド競争に傾いているが為にユニバーサルサービスの継続が困難という状態になってきている。

日本は明治時代、通信においてもほとんど欧米を参考にして築き上げた。しかし、似ているようで決定的に異なった点がある。日本の規制は電気通信設備の有無で区分してきた(第一種、特別第一種、一般二種)のに対して欧米はサービス内容で区分してきた(音声通信などの基本通信サービスとアプリケーションを扱う高度サービス)のである。

だから、日本のこうした規制のかけ方が、”寄生”(誰が寄生虫なのかは周知のとおり)できるような参入の形を生み出している。これでは悪循環の競争しか生まれないし、日本の通信が疲弊していくのは目に見えている。

日本の通信はこのままでは危ない。

 

■[通信]夢が現実に宮古、石垣へ光ケーブル敷設開始

NTT西日本(森下俊三社長)は5日、沖縄本島から宮古島を経由し石垣島までを結ぶ海底光ケーブルを敷設する工事の着工式を那覇港ふ頭で行った。両区間で計約460キロの同ケーブル敷設により、宮古石垣島地方で、ブロードバンド(高速大容量)通信と遠隔医療などが可能になる。

本島-宮古島間の海底光ケーブルは、新海底光方式で、中継器なしに約340キロの長距離を大量情報送信できる日本初のシステム。全長123メートルに及ぶ海底光ケーブル敷設船「すばる」は6日から海上を航行しながら、ケーブルを順次敷設していき、2005年3月に完了予定。総工費は約21億円で、一番深い敷設場所は海底約2キロに達する。着工式で、森下社長は「現在、同区間の通信システムでは、ブロードバンド時代に対応できなくなっている。情報通信向上で観光など宮古八重山地方の発展に協力していきたい」とあいさつした。式後、来賓の稲嶺恵一知事らは、職員による船の機能説明を受けながら、「すばる」船内を視察した。

(琉球新報より引用)

まさに夢が現実になりました。

これぞITがもたらす真の意味だと思ってます。ITが便利なモノから必要不可欠なモノになるとはこういうことです。

“光”ひろがるひびきあう。
これがNTT西日本のコーポレートステートメント。遠く離れた人と人とが、光ファイバを通じてひびきあえる。

そんな世の中になったらいいじゃないですか。

Dr.コトーをみても分かるように、離島の医療環境は大変です。それを結んだ今回の事業には素直に拍手を送りたいです。採算という面から、1番使ってほしい人たちに使ってもらえないという現実があった。しかし、ユニバーサルサービスという名のもと、こうしてまた一つ日本が豊かになった。

あとはどのようなアプリケーションを光に乗せていくのか、考えれば考えるほど夢が広がります。こんな仕事ができたらおもしろいやろなぁ~と思う今日この頃。

ソフトバンクやら何やらとNTTにとっては風当たりが強い最近、中継器なしに340キロの海底光ケーブルを引いてしまうNTTの技術力、そして採算がとれるか分からないのにポンと21億円を出す民間企業離れした投資力、NTTもなかなかやるやん、とかつぶやいてしまったニュースでありました。そしてソフトバンクとの違いがここにしっかりと見えた気がしました。(良くも悪くも)

■コメント(復旧)

#bighead『「しかし、国家における通信がどうあるべきなのかを考えてほしい。日本の通信はこのままでは危ない。」ということですが、上記の文章からはもう一つ「日本の通信の危機感」が伝わらないのですが...。NTTの危機というのは伝わるんですけどね。もちろん、問題の所在が「どこか」ということは分かりますが、それイコール日本の通信業界の危機に繋がるとは考えにくいのですが、どうなんでしょ?』

#daichi-55『んーっと、ここで言いたいんはNTTの危機ではないよ。NTTが持たなければならない2つの顔とそれを持ち合わせなければならない日本の通信施策の矛盾を言いたかった。その2面を両立させる施策が立てられないが為に常にどちらかがアンバランスになる。当然今はブロードバンド競争に傾いているが為にユニバーサルサービスの継続が困難という状態になっている。そういった両面性を持つ1つの企業が市場を独占しているというんが日本の通信業界の構造でおかしい部分。日本は通信においてもほとんど欧米を参考にしてつくってんやけど、肝心なところで欧米と違う点がある。日本の規制は電気通信設備の有無で区分してきた(第一種、特別第一種、一般二種)のに対して欧米はサービス内容で区分してきた(音声通信などの基本通信サービスとアプリケーションを扱う高度サービス)。だから欧米ではこういう形の問題は起こってない。日本のこうした規制のかけ方が”寄生”(誰がどこに寄生するかは周知のとおり)するような参入の形を生み出してる。これでは悪循環の競争しか生まれないし、日本の通信が疲弊していくんじゃないかってことが言いたかったー。わかりにくいかな?あっ、話は変わるけどさっきのbighのメールに対して、comが「参戦したいね。」と明日のYAMADA参戦を表明しました!』

#bighead『ええ、もちろんNTTの危機のことではないと分かったのですが、NTTのことを言っているように見えてしまいまして...残念!!国語能力不足斬り!!しかし、日本が欧米をモデルにしているとは知りませんでした。でも既に欧米を越えた通信サービスを提供しているから、新しい道を独自に模索しないといけない?んーよくわかりません...。.com参戦表明は思わずワロタ』

#daichi-55『でも読み直してみると確かにオレが強引に結論結びつけすぎた感もあるな・・あとで上の部分を本文に付け足しておこっかなぁ。日本はほんまに欧米そっくりやで。特にアメリカ、イギリスとは比べる価値あると思うよ。でもこれをblogに書くとあまりにもマニアックになりすぎるし特集はしてないねんーぜひぜひ月曜2限の「情報通信産業論」の受講をおすすめするわ~おもしろすぎて前から3列目で講義受けてます。』

#西武ライオンズ永遠に・・・『鍋パ面白かったな~!kotekote氏に最後お別れを言えなかったのは心残りだったけど・・・。通信の記事だけど、今度はソフトバンク側からの視点で書いてみて~。国側からでもいいけど、取り敢えず革新的にというか・・・郵政民営化とかも反対反対って言っててもしょうがないし、一度視点を変えるとNTTにとってよりよい将来が見えてくる可能性とかないかな~。素人意見ですが、一応、通信業界からの影響を受けてしまう者ですので、率直に知りたいと思ってカキコしてみました~。』

#daichi-55『→西武ライオンズ永眠さん『おう!なるほど~!オレも一回孫さん側で書きたいなぁと思ってたところやねんーとりあえず孫さん本を一冊読破して書いてみるわ。国側からはちょっとオレには難しすぎるかな。勉強したんやけど真っ黒すぎる(笑)でも郵政民営化電電公社の民営化には共通点多いからそこらへんは今度にでも書いてみますわ~リクエストサンキュー!!!』